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2019年8月14日 水曜日

保険と節税について

こんにちは!税理士の高橋です!
これまで確定申告時期以外はコンスタントに毎月発信していた当ブログですが2ヶ月空いてしまいました^^;
ブログは書けなかったのですが、この間に事務所内の書庫を整理し、新しい書棚を導入するというプロジェクト(言い方が大げさ?笑)を遂行しておりました!
IT化によって、最近の会計事務所では書類を保管せずにほとんどをデータ管理しているというところも少なくないと思います。
弊所は昭和15年創業の老舗会計事務所です。歴史がある分、非常に書類も多いためすぐに全てをデータ化なんてことは無理です。
しかし、これからの時代へ対応すべくやれることからやっていこうということで書庫の整理を行ったわけです。
整理をしたおかげで、不要な書類が激減し、必要な書類をすぐに取り出せるようになったので色々と大変でしたが個人的には大満足です^^

さて、今回は保険と節税についてです。
先日、保険税務に関して大きな通達改正があったのでその内容についてザックリ解説します。

1.貯蓄性の高い保険は全額損金NGへ
昨今、保険業界を賑わせていたいわゆる節税保険(全損保険とも言ったりします)について税務上の規制がかかり、全額を損金計上することが認められなくなりました。
よくあるパターンなのですが、この節税保険を契約することで、利益が出ている時に保険料を全額経費として計上して法人税を抑え、その後、赤字になりそうな時にはこの保険を解約して解約返戻金を収益に計上することで決算を黒字化し、かつ、資金繰りの助けにすることで、節税効果と銀行対策、そして資金繰り対策として大きな効果が期待できたのです。
しかし、保険料全額を損金計上出来てしまうと国としても税収への影響が大きくなるので、通達改正へ踏み切ったという流れですね。
そこで今回の改正で解約返戻率が50%を超える保険については、原則として(※)、解約返戻率の区分に応じて保険料の40%~90%を資産計上しなくてはならなくなりました。
解約返戻率が高ければ高いほど資産計上する割合は増えます(つまり節税効果減)。
尚、この改正は令和元年7月8日以後に締結した保険契約について適用されます。

保険期間が3年未満の契約や年間保険料が30万円以下の契約など一部例外があります。

2.法人契約の短期払い医療保険・がん保険スキーム封じ
こちらもよくあるパターンについて紹介します。
まず、法人で掛捨ての終身医療保険を契約し、被保険者を社長に設定した上で、払込期間を短期に設定します。
次に、払込期間が終了したら契約者を法人から社長個人へその時の解約返戻金相当額で売却します(しかし、これはかなり低額です)。
そうすることで保険料の多くを法人の経費として計上しながら、一生涯の個人の保障を手にすることができるのです。社長が個人的に医療保険やがん保険に加入したいニーズがあるのであれば、得策と言えた訳ですね。
しかし、今回の改正でこちらのスキームは封じられます。
短期払いの保険ということは、その支払った金額には何年も何十年も未来の分の保障も含まれているということになります。
会計上、費用は期間に応じて計上しましょうという考え方があります。
つまり支払った保険料のうち未来の保障部分についてはその期において費用に計上すべきではないということです。
但し、これまでは掛捨保険については、国側も節税目的で利用されることを想定していなかったため、事務負担軽減の観点から例外的に支払った都度、費用に計上しても良いとしていたのです。
今回の改正ではその例外的処理を禁じ、原則的な考え方に則りしっかり期間按分して経費にするように。ということになりました。
つまり全額を損金に計上できなくなるため節税効果減ということになります。
ちなみに終身保険の場合は被保険者が116歳になるまでの期間を保険期間として按分計算することとなりました(なぜ116歳かという理由は色々あるようですが長いですよね)。
尚、こちらの改正は令和元年10月8日以後に締結した保険契約について適用されるので、このスキームに関しては駆け込み需要がありそうですね。
こちらも年間保険料が30万円以下の契約など一部例外的な取扱いがありますので、個別の取扱いは保険会社や税理士など専門家へご確認下さい。

3.それでも全損保険に入りたい場合は?
今回の改正で多くの保険について全額損金計上をすることはできなくなりました。
一方で改正後でも全額損金計上できる保険があるのか?ということで調べてみたところ、下記の保険は改正後でも全額損金計上可能です。
ご参考までに。
①保険期間が3年未満の定期保険等
②最高解約返戻率が50%以下の定期保険等
③最高解約返戻率が70%以下、かつ、年換算保険料相当額(保険料総額÷保険期間)が30万円以下の定期保険等

4.雑感
新商品が出ては法規制が入り、また新商品が出ては法規制が入る。という感じで、これまで保険会社と国税庁の間で節税をめぐるバトルが繰り広げられてきたわけですが、今回の改正で保険会社は行き過ぎた節税目的商品を徹底的に禁じられました。
それだけ今回の改正は保険会社、及び、保険によって節税メリットを享受していた加入者にとって厳しいものになっています。
金融庁からも節税目的で保険販売をしてはいけないということで相当厳しく指導が入っているようです。
私個人の意見ですが、保険はあくまで保障目的で契約すべきものであって、節税目的商品がなくなることは悪い事だと思っていません。
節税目的商品は使いようによってはメリットがあるのですが、使い方を間違えたり契約者と税理士とのコミュニケーションが取れていなかったりすると損をするリスクが大きいのです。
保険に限らず、うまい話には気をつけましょう!
うまい話を聞いたら結論を出す前に是非とも一度、会計事務所へ相談してみて下さい。
第三者の冷静な目は必要だと思います。

ではでは、長くなりましたが今回はこの辺で。最後までお読み頂きありがとうございました!

投稿者 税理士法人茂木会計事務所 | 記事URL