ブログ
2017年9月22日 金曜日
退職金支給に関する注意点①
ご訪問頂きありがとうございます。
本日も高橋が更新致します。
今回は退職金支給に関する注意点についてです。
税務の世界では、ひっかけ問題のような複雑な取扱いがいくつかあり、中途半端な情報を信用したことによって痛い目に合うということが少なくありません。
退職金(特に役員退職金)についても気を付けなければ予想外の税金を払うこととなるケースがありますので簡単に説明致します。
少々長くなりますので2回以上に分けて更新させて頂きますね。
まずは基本編ということで一般的な内容をご説明致します。
・退職金は税務上優遇されています(所得税・住民税)
当然ですが退職金についても給与と同じように所得税と住民税が課せられます。
但し、退職金については、①退職所得控除、②2分の1課税、③分離課税の3つの所得計算上のメリットがあるため、給与と比べるとかなり優遇されています。
・退職所得控除について
退職所得控除は下記の算式で計算します。よって、勤続年数が長ければ長いほど税金が少なくなるわけですね。
①勤続年数が20年以下の場合
⇒40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
②勤続年数が20年超の場合
⇒800万円+70万円×(勤続年数-20年)
・退職金に課される税金の計算例(復興特別所得税は考慮していません)
勤続年数11年で支給額が800万円の場合
(800万円-40万円×11年)×1/2=180万円(課税所得金額)
180万円×5%=9万円(所得税)
180万円×10%=18万円(住民税)
よって所得税と住民税の合計額は27万円ということになります。
年間800万円を給与として支給を受けた場合の課税所得金額は600万円ですので、退職金の場合は給与と比べて3分の1以下となります。
・退職金の支給による節税
よくあるケースとしては、同族会社で経営成績の好調な会社において役員退職金を支給するというケースがあげられます。
多額の役員退職金を計上することによって利益を圧縮あるいは一時的に赤字を計上し、法人税の負担の減少しつつ、会社から極力税金を負担せずに現金を引き出すことができます。
また、多額の退職金を計上すれば株価も下がりますので、その同族会社株式の生前贈与を検討している場合にも有効な手段ということとなります。
尚、役員退職金が計上されたことによって赤字となった場合でも、役員退職金は原則として特別損失(経常利益の次の項目)に計上しますので、銀行などの金融機関の心証も悪くありません。
・節税し放題ということはありえない。
上記の通り、退職金の支給には様々な税務上のメリットがありますので、これを活用して節税をすることは一般的に行われています。但し、いくらでも退職金を支給しても良いのかというとそうではありません。様々な考え方によって制限があります。
また、実際には支給をしないで未払いのままにしておけば多額の退職金を計上できると考える方もいるかと思いますが一概にそれで大丈夫だということも言えません。
次回はこの辺りの話について少し具体的にご説明ができたらと考えています。
・そもそもの話として
退職金による節税は、役職を承継できる方がいる場合や複数の役員がいる場合で減員することに問題がない場合など、退職金を支給するための経営環境が整っていることが条件となります。退職金の支給にあたっては、優先順位として先に経営全体を通しての問題点やリスクの分析が肝心で、その後に節税の検討ということになるかと思います。その段階その段階で弊所が良き相談相手になれましたら幸いです。
ではでは、最後までお読み頂きありがとうございました。
投稿者 記事URL
|カテゴリ一覧
- 税務ブログ (29)
最近のブログ記事
月別アーカイブ
- 2020年10月 (1)
- 2020年7月 (1)
- 2020年4月 (1)
- 2020年1月 (1)
- 2019年11月 (1)
- 2019年10月 (1)
- 2019年9月 (1)
- 2019年8月 (1)
- 2019年5月 (1)
- 2019年4月 (1)
- 2019年1月 (1)
- 2018年12月 (1)
- 2018年11月 (1)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (1)
- 2018年8月 (1)
- 2018年6月 (1)
- 2018年5月 (1)
- 2018年4月 (1)
- 2018年1月 (1)
- 2017年12月 (1)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (1)
- 2017年9月 (1)
- 2017年8月 (1)
- 2017年7月 (1)
- 2017年6月 (1)
- 2017年5月 (1)
- 2017年4月 (1)