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2017年12月6日 水曜日

意外と知らない消費税のキホンのキ

ご訪問頂きありがとうございます!
早いものでもう師走ですね!
どの業種の方も仕事や忘年会などの行事でバタバタとお忙しいのではないでしょうか。
我々も年末調整・確定申告の準備をしながら、今年もまた『始まるな~』という思いです(笑)。
税理士業界の『あるある』だと思いますが、確定申告が終わってやっと1年が終わったという感覚があります(笑)

さて、余談はこれくらいにして、今日は消費税の基本的な仕組みについて簡単にご説明させて頂きます。
個人・法人を問わず事業をやられている方で、消費税を納めたことがない方納めているものの仕組みが良く分からずに納めているという方にはきっと知っておいて損のない内容ですので、ご一読頂けると幸いです。

・消費税って誰が納めるの?
ずばり、『2年前』の『課税売上高』が『1,000万円』以上の事業を行っている個人・法人が消費税を納めることになります。
よく「売上が1,000万円以上になったら消費税を納めなければならない」という話は聞くかと思いますが、2年前の金額で判定されますので注意が必要です。
今期の売上が1,000万円未満でも消費税を納めなければならないこともあるということです。
また、消費税の世界では、売上は『課税売上高』と『課税売上高以外の売上高』に区分されます。
あくまで『課税売上高』が1,000万円以上になったかどうかが基準になりますので、単純に売上が1,000万円以上になったかどうかで判断するわけではない点にもご注意下さい。
尚、資本金の額を1,000万円以上の金額で設立した法人や相続で課税売上高が1,000万円以上である事業を承継した場合など、例外的に2年前の課税売上高に関係なく納税義務が発生する場合がありますが、今回のブログでは説明を割愛させて頂きます。

・課税売上高って?
課税売上高というのはザックリ説明しますと、『消費税を請求できる売上』ということになります(例外として輸出売上は消費税を請求できないにも関わらず課税売上高として取扱うため注意が必要です)。
これまたザックリな言い方ですが、だいたいの取引は消費税を請求できます。
逆に消費税を請求できない取引は下記の2つの取引がございます。
①不課税取引
国外で取引をした場合やサービスやモノの譲渡がないにもかかわらず金銭を受け取った場合(助成金など)などについては不課税取引として消費税の世界では取引として認められないこととなります。詳細はこちら
②非課税取引
住宅の貸付け(アパートの貸付けなど)や土地の譲渡・貸付けなどいくつかの取引については、課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、特別に非課税取引と規定されています。詳細はこちら

・結局、いくら納めることになるの?
細かい話は抜きにして説明させて頂きますが、消費税の納税額は預かった消費税から払った消費税を引いて求めるというのが大原則です。
例えば、商品を50万円で仕入れて100万円で売った場合、仕入時に4万円(50万円×8%)を払って、売上時に8万円(100万円×8%)を預かることになりますので、国に納付しなければならない消費税は4万円(8万円-4万円)ということになります。
この大原則を知っていると自分又は会社がおおよそどれくらいの消費税を納めなければならないかが見積もれるようになります。
但し、ここで注意しなければならないのは人件費(法定福利費も含みます)、減価償却費、租税公課などには消費税が課税されていないため、単純に利益(=売上-経費)に消費税率を乗じても計算が合わないこととなります。
そのためザックリと消費税のシミュレーションをしたい場合は(営業利益+人件費+減価償却費+租税公課)×消費税率で計算すれば、正確ではないにしてもそれほど検討はずれな金額にはならないと思います(例外はありますが・・・)。
たまに、赤字なのになんで消費税を納めなければならないの???というご質問を頂くのですが、その理由はこういう仕組みで計算されているからなんですね。
消費税の納税は資金繰りへの影響も大きいため、是非ともこの機会にお知りおき下さい。

・まとめ 
今回の内容は本当にキホンのキといった内容ですが、意外と知られていないために思いもしない高額な納税額にビックリしてしまうなんていうケースも考えられますので、このような記事を書かせて頂きました。
私たちも事前のアドバイスや情報提供を心掛けて、『思いもしない納税』とならないよう努めていく所存です。
また、消費税についてはまだまだ色々と気を付けなければならない点が沢山ありますので、別の機会でご説明ができたらと考えております。
ではでは、最後までお読み頂きありがとうございました。

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2017年11月8日 水曜日

飲食店経営で重要とされる指標について

ご訪問頂きありがとうございます。
私事ですが、先日初めて香川県に行って参りました。
香川県と言えば、うどん。というイメージはあったのですが、実際に食べてみて、そのレベルの高さと安さに驚愕致しました。
普段、私はあまり好き好んでうどんを食べないのですが、今回の訪問では2日で3食も食べてしまう程に美味しかったです。
そこで今回は、『なぜ香川県のうどんは高品質にもかかわらず低価格で商品が提供できるのか?』という個人的な好奇心をもとに、飲食店経営で重要とされている指標について簡単にご説明したいと思います。

・原価率はどれくらい?
飲食店の原価率は3割くらいが目安と言われています。
色々と調べてみると、うどん屋さんの原価率は全国平均で31%くらいのようです。
但し、私が香川で食べたうどんは出汁が非常に奥深い味わいでしたし、麺も程よいコシの強さでなんとも言えない食感を味わうことのできるこだわりを感じたので原価率は一般より高いのではないかと想像します(ザックリ35%くらい?と仮定します)。
なんとも私的な意見ですが^^;
このように原価率を高くして高品質なものを提供する場合、他の費用を削減する、もしくは、原価率の低い別の商品を提供するなどの対策を講じなければ、その分だけ他の飲食店と比べてリスクの高い商売をしていることとなります。

・FLコストはどれくらい?
原価率の他に、飲食店の財務分析では『FLコスト』『FL比率』というものが活用されることが多いです。
『F』はFoodで材料費、『L』はLabor(労働)で人件費を意味します。
FLコスト=材料費+人件費
FL比率=FLコスト/売上高

ということになります。
このFL比率は60%前後が目安と言われています。
私の行ったうどん屋さんは私が数えたところ15人くらいは同時に働いていたと思います。また、営業時間は9~17時でしたので、準備や片付けなど含めると実際の実働時間は12時間くらいでしょうか?
四国のうどん屋さんのパートの時給は900円くらいのようですので、単純に計算をすると休日における1日の人件費は、
900円×15人×(9+3)時間=162,000円/日くらい
ということになりそうです。かなりアバウトですが・・・
平日もお昼時は行列ができるようですが、さすがに休日ほどの混み方ではないと思いますので、これまたアバウトですが休日の7割ほどの方が働いているとして、1週間の人件費の1日当たりの平均額を計算してみます。
尚、このうどん屋さんは平日のうち2日が休業日です。
{162,000円×2日(土日)+162,000円×70%×3日(平日)}÷5日
=132,840円/日
原価率が35%と仮定すれば、FL比率を標準値にするためには売上に対する人件費の比率は25%前後が望ましいという計算になりますね。
つまり上記の1日当たりの人件費から逆算すると1日当たりの売上目標は下記の通りになります。
132,840円/日÷25%=531,360円/日

・お客さんは1日何回転する?
私が観察したところ座席数は120席あり、滞在時間は20分くらいが平均かと思いますので、単純にお客さんは1時間に3回転することになります。
また、午後2時半になっても行列ができるほどの繁盛ぶりでしたので(この時間での行列は珍しくないとのこと)、営業時間のうち半分以上(6時間と仮定)は満席、残りの3時間も8割くらいはお客さんが入っていると仮定します。
単純に全員が1杯ずつうどんを食べるものとして考えると、休日に出るうどんの数は、
120席×3回転×6時間+120×80%×3回転×3時間=3,024杯/日
平日も加味する必要がありますので、人件費の場合と同様のやり方で1週間に出るうどんの数の1日当たりの平均数を計算します。
{3,024杯×2日(土日)+3,024杯×70%×3日}÷5日=2,480杯/日
さらに、ここのお店のうどんは小サイズで250円、大サイズで350円だったので、平均を取って1杯当たり300円として1日の売上高を計算すると、
300円×2,480杯=744,000円/日となりますので、1日当たりの売上目標は達成してそうですね。

・きっと儲けは出ていそうだが・・・(結論)
上記の仮定が正しければ(正しくないと思いますが・・・)、売上に対する人件費の比率は17.8%ということになり、FL比率は52.8%ということになりますので、一定の利益はしっかりと確保していそうです。
圧倒的な回転率が数値に反映されていると言えます。
但し、従業員全員がパートさんである前提で計算しましたが、実際には正社員に対する給与が発生している可能性は高いですし、このお店は160台分の駐車場や広い店舗の維持費など、他の店舗と比べて固定費は高止まりしそうなので、今回の前提の上ではこれくらいの比率でないと経営は難しいのかもしれません。

さてさて、今回は私の趣味ブログのような内容になりましたが、たまにはこういう内容も良いかと思って書いてみました。
財務分析で重要なことは出てきた数値に関する因果関係を追及することですね。
ではでは、最後までお読み頂きありがとうございました。

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2017年10月17日 火曜日

退職金支給に関する注意点②

ご訪問頂きありがとうございます。

10月も中旬。急に寒くなってきましたね。
皆様、風邪など引かないよう、お気を付け下さい。
私は先週引いてしまいましたが、今は治って元気です^^;
健康第一ですね!

さて、今回は前回の記事で説明させて頂いた『退職金支給に関する注意点』についての続きのお話です。
前回は、
①退職金は税務上優遇されていること。
②退職金による節税のケース。
③節税には制限があること。
について、簡単に説明させて頂きました。
今回は③の『制限』がかかるケースというのはどのようなケースがあるのか説明させて頂きます。
尚、ここでいう『制限』とは『退職金を支給しても税務上優遇されない』という意味ですので、それを前提にお読み頂けたらと思います。

・退職『年金』とされるケース
このケースに該当するのは、合理的な理由がないにもかかわらず、退職金を分割払いで支給するケースです。
分割払いの場合は、退職『年金』として取り扱われることがあり、その場合、所得税・住民税の計算上は退職所得ではなく雑所得として取り扱われ、また、法人税の計算上は総額を未払計上していた場合であっても、実際に支給された分の金額しか経費として認められません。
せっかく税務上の優遇を受けることを前提として退職金を支給したのに思わぬところで税務署から否認されてしまっては大変です。
分割払いで支給すると必ず否認されるというわけではありませんが、分割で退職金を支給する場合には、一括支給ができない合理的理由(資金繰りに問題があるなど)や退職金の総額を株主総会議事録に記載するなど、利益操作のための退職金計上ではないという証拠を残すことが大事になってきます。

・退職金額が不相当に高額であるとされるケース
大前提として、法人税の計算上、役員に対する給与や退職金については不相当に高額な部分の金額は経費に算入することができないこととなっています。
退職金が不相当に高額かどうかの判定基準については明確な根拠法令はなく、税務署と裁判になるケースも多いのですが、一般的に下記の算式で算出された金額を超えるかどうかが一つ大事な判定基準となっています。
そのため支給金額を検討する際は、下記の算式により算出された金額と前回の記事で説明した退職所得控除額、そして会社の資金繰りなどの状況とのバランスを見ながら行うことが多いです。
≪算式≫
退職時の報酬月額×勤続年数×功績倍率(※)
※功績倍率は役職によって異なり、一般的には2倍~3倍として計算することが多いです。
尚、過大とされた場合であっても退職金をもらった人の所得税・住民税の計算上は退職所得として取り扱われます。

・分掌変更による退職金が否認されるケース
該当するのは代表取締役や取締役であった方が、一度退任したタイミングで退職金を支給し、その後も身分を平取締役や監査役などに変更して引き続き在職するケースです。
このケースについては、引き続き在職しているため形式的には退職とは言えないものの『実質的に退職』したのと同様と認められれば、支給された退職金について税務上の優遇が受けられます。
逆に言うと、『実質的に退職』したと認められなければ、法人税の計算上は経費に算入できないこととなります。
この場合、所得税・住民税については取扱いが微妙なところで、退職所得と認められるケースと給与所得とされてしまうケースの両方が想定されます。
尚、『実質的に退職』と認められるかどうかの判定は下記の基準を満たすかどうかによります。

①常勤役員が非常勤役員(経営上主要な地位を占めている場合はNG)
②取締役が監査役(経営上主要な地位を占めている場合はNG)
③分掌変更等の後におけるその役員の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。

また、分掌変更による退職金については原則として未払計上を認めないというのが税務署の考え方となっています。
よって、税務署から言わせれば退職金の支給が確定した期に全額支給するべきということになります(未払計上が恣意的ではないと認められる場合については未払計上をしていても経費として認められるケースもありますが、否認されるリスクは低くないと思われます)。

以上、前回・今回と2回に渡って退職金支給に関する注意点について説明させて頂きました。
退職金に関する税務は複雑、かつ、曖昧で、現行の法律に関しては疑義を抱かざるを得えないというのが個人的な考えです。
法律が曖昧であるために税務署と納税者の裁判が多発しているのです・・・
しかし、過去の裁判の判例等を頼りにリスクの有無を判断することは可能です。
退職金の支給を検討される際には、この記事をご参考にして頂くとともに、不明な点や不安な点などございましたら、まずはご相談頂けたらと思います。
ではでは、最後までお読み頂きありがとうございました。

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2017年9月22日 金曜日

退職金支給に関する注意点①

ご訪問頂きありがとうございます。
本日も高橋が更新致します。

今回は退職金支給に関する注意点についてです。
税務の世界では、ひっかけ問題のような複雑な取扱いがいくつかあり、中途半端な情報を信用したことによって痛い目に合うということが少なくありません。
退職金(特に役員退職金)についても気を付けなければ予想外の税金を払うこととなるケースがありますので簡単に説明致します。
少々長くなりますので2回以上に分けて更新させて頂きますね。
まずは基本編ということで一般的な内容をご説明致します。

・退職金は税務上優遇されています(所得税・住民税)
当然ですが退職金についても給与と同じように所得税と住民税が課せられます。
但し、退職金については、①退職所得控除、②2分の1課税、③分離課税の3つの所得計算上のメリットがあるため、給与と比べるとかなり優遇されています。

・退職所得控除について
退職所得控除は下記の算式で計算します。よって、勤続年数が長ければ長いほど税金が少なくなるわけですね。

①勤続年数が20年以下の場合
⇒40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
②勤続年数が20年超の場合
⇒800万円+70万円×(勤続年数-20年)

・退職金に課される税金の計算例(復興特別所得税は考慮していません)
勤続年数11年で支給額が800万円の場合
(800万円-40万円×11年)×1/2=180万円(課税所得金額)
180万円×5%=9万円(所得税)
180万円×10%=18万円(住民税)
よって所得税と住民税の合計額は27万円ということになります。
年間800万円を給与として支給を受けた場合の課税所得金額は600万円ですので、退職金の場合は給与と比べて3分の1以下となります。

・退職金の支給による節税
よくあるケースとしては、同族会社で経営成績の好調な会社において役員退職金を支給するというケースがあげられます。
多額の役員退職金を計上することによって利益を圧縮あるいは一時的に赤字を計上し、法人税の負担の減少しつつ、会社から極力税金を負担せずに現金を引き出すことができます。
また、多額の退職金を計上すれば株価も下がりますので、その同族会社株式の生前贈与を検討している場合にも有効な手段ということとなります。
尚、役員退職金が計上されたことによって赤字となった場合でも、役員退職金は原則として特別損失(経常利益の次の項目)に計上しますので、銀行などの金融機関の心証も悪くありません。

・節税し放題ということはありえない。
上記の通り、退職金の支給には様々な税務上のメリットがありますので、これを活用して節税をすることは一般的に行われています。但し、いくらでも退職金を支給しても良いのかというとそうではありません。様々な考え方によって制限があります。
また、実際には支給をしないで未払いのままにしておけば多額の退職金を計上できると考える方もいるかと思いますが一概にそれで大丈夫だということも言えません。
次回はこの辺りの話について少し具体的にご説明ができたらと考えています。

・そもそもの話として
退職金による節税は、役職を承継できる方がいる場合や複数の役員がいる場合で減員することに問題がない場合など、退職金を支給するための経営環境が整っていることが条件となります。退職金の支給にあたっては、優先順位として先に経営全体を通しての問題点やリスクの分析が肝心で、その後に節税の検討ということになるかと思います。その段階その段階で弊所が良き相談相手になれましたら幸いです。

ではでは、最後までお読み頂きありがとうございました。

投稿者 税理士法人茂木会計事務所 | 記事URL

2017年8月1日 火曜日

配偶者控除・配偶者特別控除の改正

こんにちは!
早いものでもう8月。我々の業界では8月といえば税理士試験があります。
私も漏れなく受験生ですのでラストスパートです^^;
試験が終われば夏休みを頂いて実家でのんびりの予定なので、それを楽しみに頑張ります(^^)/
皆様もどうか充実した夏をお過ごし下さい!

さて、今回は所得税における配偶者控除・配偶者特別控除の改正についてです。
今回の改正は重要ですので、下記の『配偶者特別控除の改正に関する注意点』の項目まで読んで頂けると幸いです。

〇改正までの流れ
『103万円の壁』という言葉を聞いたことがあるかと思います。パート収入103万円(合計所得金額38万円)を超えると所得税が発生し、かつ、そのパートの方(以下『奥さん』という設定でご説明させて頂きます)の旦那さんについては『配偶者控除』(控除額:38万円)が受けられないこととなります。
一方で、103万円を超えても受けられる控除があり、それを『配偶者特別控除』といいます。
『配偶者特別控除』はパート収入141万円(合計所得金額76万円)までであれば、その奥さんの合計所得金額に応じて旦那さんが控除(控除額:38万円~3万円)を受けられます。
ただし、現行法では、『配偶者特別控除』を受けても、奥さん自身に税金が発生してしまい、かつ、旦那さんについては『配偶者控除』と比べると控除額が減ってしまうというデメリットが大きいため、結果的に『103万円の壁』を意識せざるを得ず、共働き世帯が増えてきた現代において問題視されていました。
そこで、共働き世帯が控除を受けやすくなるように、『配偶者特別控除』の改正が行われました(但し、高額所得者については『配偶者控除』の適用を廃止することにより増税となっています)。

〇改正時期について
平成30年度の所得税の計算から適用になります。

〇配偶者控除について(控除縮小)
合計所得金額が1,000万円を超える居住者については適用不可
合計所得金額が900万円超から1,000万円以下の居住者は下記の通り控除額が減額

〇配偶者特別控除の改正について(控除拡大)
①現行法と変わらず合計所得金額が1,000万円を超える居住者については適用不可
②『配偶者特別控除』の対象となる配偶者のパート収入が103万円超から188万円以下(合計所得金額38万円超から123万円以下)まで拡大
パート収入が150万円(合計所得金額85万円)以下の場合については、『配偶者控除』と同額の控除を受けることが可能
④控除額は合計所得金額が『900万円以下』『900万円超950万円以下』『950万円超1,000万円以下』の3つのカテゴリーごとに設定(それぞれの控除額の詳細は省略させて頂きますm(__)m)。

〇配偶者特別控除の改正に関する注意点
①『103万円の壁』を超えると奥さんご本人については所得税が発生(従来と変わらず)。
『社会保険の130万円の壁』については改正なし(逆に昨年10月からは大手企業でパートの社会保険加入義務の範囲が拡大・・・⇒『106万円の壁』と呼ばれています)。
③ 配偶者に対する手当を支給する会社もありますが、103万円の壁を超えると支給しないという会社もあるようです。

〇結論として
ケースにもよりますが、今まで『103万円の壁』を意識して働かれていたのであれば、少し奥さん自身の税金がかかるものの(多くても4万円程度)、旦那さんの税金と社会保険料の負担が変わらずに済む『130万円の壁』までの範囲であればメリットがあると思いますが、奥さん自身が年金に加入したいという方を除けば、『130万円の壁』を超えるとデメリットの方が大きいと思います。
来年以降のご参考にして頂けたら幸いです。

ではでは、今回はこの辺で^^

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2017年7月5日 水曜日

120年ぶりの民法大改正

こんにちは!
梅雨が始まりましたが皆様体調を崩されたりしていませんか?今年の梅雨明けは気象庁からの現在の情報では関東圏は7月21日のようです。そんなに続くの・・・と思いましたが、昨年は7月29日だったようで、これでも短い方のようですね^^;

さて、5月26日の国会で120年ぶりの民法大改正についての法案が可決・成立しました。今回はその改正内容について実務で関わりがありそうな部分をピックアップしてご説明させて頂きます。
改正のメインは債権債務に関する内容で、知っておかないと落とし穴にはまってしまう。というようなことも考えられますので、一度押さえておいて損はないかと思います。特に不動産業や貸金業の従事者については注目すべき内容です。

○施行時期
実際に施行されるのは3年後の2020年を目途としているようです(まだ先なので改正の準備期間は充分にありますね)。

○改正の概要(一部のみ)
①時効について
・改正前
一般債権は10年。
商行為により生じた債権は原則5年。
例外として飲食業や小売業など一部の商行為により生じた債権については1年あるいは2年など、短期に時効期限が到来します。

・改正後
債権の消滅時効の時効期間が5年に統一。
債権の存在を知らなかった場合などは債権発生から10年。

②連帯債務について
・改正前
AからB・C・Dが共同で何かを仕入れ、その代金を支払わなかった場合に、AがDに対してのみ代金を請求した時には、『BとC』も含めて時効の期限がその請求があった時点から再計算(これを『時効の中断』といいます)されることになります。

・改正後
上記の場合において、B・Cについては時効の中断はなく、そのままにしておくと仕入の時から5年を経過した時点で債権は消滅してしまうこととなってしまいます。
このような事態を防ぐためには、債権者は債務者各人へ請求するか、もしくは、契約時に特約として改正前と同様に取扱う旨(『絶対的効力』が発生する旨)を特約として契約書に記載することが必要になります。

③保証債務について
・改正前
(イ)事業用借入の際に債権者が認めれば誰でも個人保証人を立てることが可能。
(ロ)貸金以外の債務(賃貸借契約や継続的売買取引契約等)の保証人については契約書にその人の署名・捺印があれば有効。

・改正後
(イ)事業用借入の際に経営者・オーナー以外の者が個人保証人となる場合は、公正証書で保証人となろうとする意思を示さなければなれない(経営者・オーナーについては今まで通り)。
(ロ)貸金以外の債務(賃貸借契約や継続的売買取引契約等)の保証人については契約書に単にその人の署名・捺印を記載するだけではなく、極度額を定めてそれを記載しなければ無効

④法定利率について
5%(商事法定利率は年6%)から3%へ変更
その後3年毎に見直し

○まとめ
今回の民法改正は、過去の判例理論を明文化するという意味合いが強く、債権債務の取扱いに関する考え方が根本から変更されるものではありません。但し、賃貸借契約における保証人を立てる際に極度額の設定が必要になるなど、実務的に重要な改正があるのも確かですので、関係する業務に携わる方は施行前に準備をしていく必要があるかと思います。我々も勉強して今後も情報提供をしていけるように頑張ります。

ではでは、長くなってしまいましたので、今回はこの辺で^^

投稿者 税理士法人茂木会計事務所 | 記事URL

2017年6月7日 水曜日

取引相場のない株式の評価方法の見直し

こんにちは。
暑い日が続くようになってきましたね。
弊所では5月からクールビズを開始し、私(高橋)は半袖通勤が主になっております^^;
これからの梅雨時期は苦手なシーズンですがシャキッと頑張っていきたいところです。
皆様におかれましては、くれぐれもご自愛ください。

さて、今回は平成29年から改正された『取引相場のない株式』の評価方法についてご説明させて頂きます。
『取引相場のない株式』とは、上場株式等の相場がある株式以外の株式のことを言います。
株式の相続又は贈与があった場合には、この『取引相場のない株式』の評価をして相続税又は贈与税を計算することになります。
現在注目されている『事業承継』や『相続対策』を行う際には、株式の移動をどのように行うかという話は重要なテーマになりますので、ご検討中の方はご参考にして頂けたらと思います。
尚、『取引相場のない株式』の評価方法は大変複雑であるため、ここではかなり大まかな説明になりますがご容赦下さい。
小難しい話は置いておいても、太字部分を読んで頂き、何か影響がありそうだと感じましたら、株価の算定や相続・事業承継シミュレーションなど承りますので、ご相談頂けますと幸いです。

原則的に『取引相場のない株式』の評価額は、大きく分けると純資産価額類似業種比準価額という価額を基に計算されます。
今回、改正があったのは類似業種比準価額の方です。
類似業種比準価額は、上場企業の株価と、各比準要素(配当、利益、純資産)に関する、評価対象会社と上場企業との比率を用いて算定します。
この比率が改正前は、配当:利益:純資産=1:3:1だったのですが、改正後は、配当:利益:純資産=1:1:1とされることになりました。
つまり、評価額に対する利益の影響度が小さくなり、評価額に対する配当と純資産の影響度が大きくなったことを意味します。
このことから、下記の影響が考えられます。

①歴史のある会社等で内部留保の厚い会社については改正前より評価額が上昇する可能性が高い。
②成長・好業績企業については改正前より評価額の上昇が抑えられる。
③多額の損失を計上した場合でも改正前より評価額が下がりにくくなる。

尚、この改正の他、『比較する上場企業の株価の金額の見直し』、『会社規模の判定基準の見直し』等の改正もありましたが、ここでは割愛させて頂きます。
詳細はお問い合わせ頂きますよう、お願い致します(※)。

※既にご契約頂いているお客様以外の方からの単なる税法に関するご質問についてはご対応できませんので、ご了承下さい。

投稿者 税理士法人茂木会計事務所 | 記事URL

2017年5月2日 火曜日

セルフメディケーション税制をご存知ですか?

こんにちは!
GWはいかがお過ごしでしょうか?
関東地方はあまり雨の心配もなく比較的気温も高い日が続くようですね!
お出かけされる方は楽しく過ごせるのではないでしょうか!(^^)!

さて、今回は今年(平成29年)から開始される『セルフメディケーション税制』についてご説明したいと思います。
毎年確定申告をされている方はもちろん、今まで確定申告をしていなかった方も『セルフメディケーション税制』を知っていれば税金の還付を受けることができるかもしれません。
国民の健康促進のための制度ですので、ぜひご活用ください。

・概要
『セルフメディケーション税制』は自発的な健康維持の促進等のために対象の医薬品を購入する人の所得税と住民税を安くする、という制度になっています。
具体的には、対象医薬品を購入した費用が年間1万2千円を超えていれば、その超えた部分の金額(その超えた部分の金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)を所得金額から控除することが可能になります。
所得金額が控除される=税金が安くなるということですね。

・対象医薬品について
対象医薬品は『スイッチOTC医薬品』と呼ばれています。
具体的にどの医薬品が『スイッチOTC医薬品』なのかは、厚生労働省のホームページで確認することができます。
見てみると『イブ』、『ロキソニンS』、『バファリン』など、結構メジャーな医薬品も対象となっていました。
今年から『スイッチOTC医薬品』を購入するとレシートに『スイッチOTC医薬品』である旨が記載されるようになっていますので、医薬品をご購入の際はレシートをチェックしてみて下さい。
そのレシートが確定申告の際に必要になりますので保管をお願い致します

・注意点
①従来の医療費控除の制度とは併用できません。
⇒つまり、どちらの制度がお得か検討する必要があります。
②『セルフメディケーション税制』を適用する場合には、健康診断や予防接種など、健康の維持増進等の取組を行い、そのことを証明する書類を確定申告書に添付又は提示する必要があります。
③この制度が使える期間は平成29年から平成33年までの間に限定されています。

以上、『セルフメディケーション税制』についてご説明させて頂きました。
今までの医療費控除とは違い、月に1,000円程度(1,000円×12月=1万2千円)の医療費でも控除の対象となるのが1つポイントですね!

投稿者 税理士法人茂木会計事務所 | 記事URL

2017年4月20日 木曜日

経営力向上設備について

初めまして。
茂木会計事務所の高橋と申します。
気温も暖かくなり、新年度もスタートしましたね。このたび、このホームページを活用して情報を発信していく機会を増やしていこう!ということになりました。皆様のお役に立てれば幸いです。
少しずつになるかと思いますがブログを更新していきたいと思っております。
宜しくお願い致します。

早速今回は、先日成立した平成29年度税制改正の中から経営力向上設備について簡単に解説したいと思います。
この『経営力向上設備』に該当しそうな設備投資を検討されている経営者の方は、適用の可否についてお早めにご相談頂けたらと思います。

『経営力向上設備』というのは、平成29年4月1日から平成31年3月31日までに取得した下記①②のいずれかに該当する設備で、中小企業経営強化法の認定計画に基づく建物付属設備・機械装置・ソフトウェア・工具・器具備品で一定金額以上の資産を言います。

①工業会等による証明書が発行されている設備
②経済産業局による投資利益率(年平均5%以上となる計画)に関する確認書が発行されている設備

このように書くとややこしいですが、要するに、

・設備購入の際に、メーカーに工業会の証明書が発行できるかどうか確認し、発行可能と言われた設備(生産性が向上されると見込まれる最先端設備が対象)
・その設備投資で投資利益率が年5%以上向上すると見込まれる設備

以上の設備のうち、いずれかに該当するものが『経営力向上設備』であると考えて頂いて差し支えないと思います。

今回の税制改正では、この『経営力向上設備』を取得した中小企業者・個人(一部の業種は対象外となります)について、即時償却又は7%税額控除(資本金3千万円以下の法人もしくは個人事業主は10%)を認めるという税制措置が成立しました。
これまでの生産性向上設備投資促進税制及び中小企業投資促進税制の上乗せ措置とは手続きや対象設備等、異なる点があるため注意が必要です。

尚、お早めにご相談頂きたい理由としましては、
当該税制措置については、該当設備の取得前に工業会等の証明書又は経済産業局からの確認書の申請をする必要があり、かつ、中小企業経営強化法の認定計画の申請・認定についてもその設備投資をした事業年度内に完了する必要があるなど、手続の期限が厳しく定められているためです。
また、申請書の作成もなかなか大変である場合が多く、時間がかかります。
早め早めの動き出しが大事になってくる税制措置ですので、ご留意下さい。
以上、大変簡単な説明ではありましたが、経営力向上設備についての説明をさせて頂きましたm(__)m

ではでは、また時間を見つけてブログの更新をしていきたいと思います。

投稿者 税理士法人茂木会計事務所 | 記事URL